日記・繭の記憶/Cocoon Memories

アーティスト荒木珠奈の2018年夏予定の展覧会(インプリントまちだ@町田市国際版画美術館)にむけて、蚕を飼ったり、制作準備等の記録です。

白い絹糸を黒で

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1頭の蚕の吐く糸の長さは、1300m~1500mです。絹糸の断面は三角形をしており、プリズムのように光を乱反射します。美しい光沢はここからきています。また衣服にした場合、夏に涼しく、冬に暖かいという特性もあります。

かいこが繭を作るのは、繭の中で蛹になり羽化までの皮が柔らかく動けない時期に、天敵や天候から守る役目もあります。そして絹糸は、紫外線も約90%カットするので、日傘やストールなどの紫外線予防製品にも向いています。

 

化学繊維にはない特性がたくさんある絹糸ですが、私が一番驚いたのは「カイコは繭糸を吐かないと、体内が過剰タンパク質になって死んでしまう」という事です。桑を食べて体内に溜め込んだタンパク質を、蛾になるためには吐き出さないといけないのです。

繭の役目は、弱い変態の時期に天敵や紫外線から身を守る目的が先なのか、タンパク質を排出する目的が先なのか…わかりませんが、よくできたものだと感心してしまいます。

 

最近は、銅版画を制作しています。銅版画といえば、白い紙に黒や他の色のインクで刷るのが一般的ですが、今は「白い絹糸を黒で」表現できないかと、試行錯誤しています。

 

⭐︎2018年夏「インプリントまちだ展2018」町田市立国際版画美術館にて開催予定⭐︎